第2章 逢魔が時
ザザザザッと三人の足が森の枝葉をかき分けてゆく。
「近いぞっ!」
炭治郎がそう叫んだ時、ガサッと少し開けた場所に出た。
その先に、四匹の鬼に囲まれて木の根元にしゃがみ込んでいる人の姿があった。
その人物は全身に黒い衣服をまとっており、目元だけを残して顔も黒い布で覆っていた。
「隠の隊服を着ているっ!仲間だっ!!」
炭治郎が叫ぶやいなや、伊之助が真っ先に突っ込んでいった。
「猪突猛進!!」
振り上げられた刀は、空を切りドカッと大きな音を立てて地面にめり込む。
隠を取り囲むようにしていた鬼達が、伊之助の突撃にまるで蜘蛛の子を散らすようにして四方に飛んだからだ。
「くっそー!ちょこまかと!!」
その内の一匹に狙いを定めて、再び伊之助が突進する。
炭治郎と善逸も、他の鬼に向かって走りだした。
善逸はすでに若干の涙目になっていたが、目の前に鬼がいたのではもう戦うしかない。
「なんだァ!?こいつらは!」
鬼の方も驚いたようで、ぴょんぴょんと跳ね回って炭治郎達の刃を避けながら叫び声を上げる。
だが、すぐに好戦的な笑みを浮かべて飛びかかってきた。