第5章 俺達が一緒に
「おっかしいなー、これだけ歩いても鬼に出くわさないとはなぁ」
そんな風に村田が声を上げた時、隣を歩いていた炭治郎の動きがピタリと止まった。
「……血の匂い」
「た、炭治郎、何か……うめき声みたいなのも聞こえるよ……」
「感じるぜ!!向こうの方に、何かある!!」
炭治郎達三人はそれぞれに、普通の者と比べるとずば抜けて鋭い感覚の持ち主であった。
だから、離れた場所にいても異変を感じ取ることができるのだ。
ザザッと先陣を切って走り出した伊之助の後ろに、炭治郎達も続く。
先ほどまで先頭にいたはずの村田は、今では一番後ろを走っている。
咲も、彼らを見失わないよう後を追って走り始めた。
暗い森の中を走っていくと、ガサッと木々の開けた場所に飛び出した。
その広場の中央には数本の木が立っていたが、葉っぱにしては奇妙な形のものが、枝にぶら下がっているのが見えた。
「……なに、あれ……まさか……」
真っ青になって、善逸が呟くようにして言う。
その視線の先には、木の枝に突き刺された人間達の姿があった。