第5章 俺達が一緒に
そのあまりの賑やかさに咲がびっくりしていると、妙に髪がツヤッサラッとした男性隊士がやって来た。
「お前らー!遠足じゃねぇんだぞ!ホラ、そろそろ出発するぞ!」
「はい、村田さん!」
炭治郎がそう返事をするのを聞いて、「この方は村田さんというのだな」と咲は覚えたのだった。
鬼殺隊には何百人もの隊士がいるため、初めて顔を見る隊士もしばしばいるのだ。
今回の任務でリーダーを務めるのは、どうやらこの村田さんのようだと咲は理解した。
この任務に参加している剣士は、炭治郎達三人とこの村田さんのみであり、年齢や立ち居振る舞いから考えても、一番年長者のようだった。
鴉からの情報では、どんな鬼が潜んでいるのかハッキリとしたことは分からないが、被害の人数から考えてもそれほど強い鬼ではないだろうということだった。
村人達から怪しまれない程度にぐるりと村の中を巡回した後、炭治郎達は山の中へと入って行った。
隠である咲は、他の隠と同様に、剣士達からは少し離れてついて行く。
月明かりの綺麗な夜で、鬱蒼とした森であったが、ところどころの木々の間からは青白い光が細く差し込んでいた。