第5章 俺達が一緒に
「むう……まぁ、よい。二人共気をつけてな」
「はい!それでは父上、行ってまいります!」
「行ってまいります。千寿郎くんも、またね」
「はい!お二人ともどうぞお気をつけて」
見送る槇寿郎と千寿郎に手を振りながら、二人は出発したのだった。
そうして町外れまで並んで歩いてきたところで杏寿郎が言った。
「もう少し一緒に、と言いたいところなのだが、行き先がまるで違うようなので、ここで俺達もお別れだな」
「はい。杏寿郎さん、どうぞご武運を」
「うむ!咲もくれぐれも気をつけるのだぞ!何かあったら鴉で知らせろ。何もなくても、たまには手紙をおくれ」
「はい」
こっくりと頷く咲の頭をポンポンと軽く撫でてから、杏寿郎はシュッと姿を消した。
杏寿郎が消えた方角を少しの間見送るように見つめた後、咲もくるりと反対側を向いて歩き始める。
咲に下った指令。
それは、担当隊士になった炭治郎達の鬼殺任務の事後処理であった。
鴉からの情報によると、山の麓の村に鬼が出るので退治するために数人の隊士に出動命令が下っているそうだ。
咲もタッタッタッと走り始めた。
アオイに修理してもらった義足の調子はすこぶる良くて、走る足取りも軽く感じるのだった。