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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第4章  わっしょい



正直なところ杏寿郎は、咲には鬼などには二度と関わらない生活を送ってほしいと思っていた。

3年前、鬼に襲われていた少女を助けた時、その顔を見た瞬間、まるでそこに亡くなった母がいるかのような錯覚を覚えた。

杏寿郎の母・瑠火は、病のため彼がまだ幼い頃に亡くなった。

凛とした眼差しを持ち、清廉な志で、杏寿郎に「強き者は弱き者を助ける義務がある」と教え諭してくれた。

その母に、少女は顔立ちがとてもよく似ていたのだ。

だからこそ蝶屋敷で保護した後も、もっと彼女の顔を見たいという思いから頻繁に見舞いに通った。

それは亡き母に対する思慕の念に近かったような気がする。

だがその後、何度も彼女を見舞い、体の傷が徐々に癒えてくるにつれて次第と見せるようになった様々な表情を見ているうちに、亡き母に対する思慕の念だけではない感情が、彼の胸の内に芽生えていったのだった。

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