第4章 わっしょい
咲が煉獄家に引き取られてきたのは、10歳の頃のことだった。
それから3年ほどこの家でお世話になり、13歳の時、隠となった。
杏寿郎による厳しい鍛錬を受けて修行を積んだものの、結局咲は鬼殺の剣士になることは叶わなかった。
歩行が問題なくできるようになってから剣術の稽古を始めたのだが、やはり片足が無いせいで踏み込みが甘くなり、ほとんど技を決めることができなかったのだ。
体術も、一般人よりは多少強いと言えるくらいまでには上達したが、とてもではないが剣士として鬼と戦えるレベルには到達しなかった。
藤襲山での最終戦別試験の日程が迫ってきたある日の夜、師である杏寿郎から正式に「剣士になることは出来ない」と引導を渡された時、自分の力量不足を理解してはいたものの、やはり無念さで咲は泣き出してしまった。
あの時もこうして杏寿郎と二人、縁側に座りながら話したことが思い出される。
ガックリと肩を落としてポロポロと涙を流している咲の肩を、杏寿郎は優しく抱いてくれた。