第4章 わっしょい
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「わっしょい!」
杏寿郎のその声に、咲は長い物思いからハッとして引き戻された。
隣を見ると、あの頃よりも身長が更に伸びて、より一層体格の良くなった杏寿郎の姿。
反対隣には、こちらもまた以前よりも成長した千寿郎。
そして焚き火を挟んだ向こう側には、以前よりも顔色が良くなり、表情も明るくなった槇寿郎。
あぁ、この場所がとても好きだな。
家族を全て失った自分だけれど、またこうして家族のように思える人達ができたことは、とても幸せなことだ。
そんな風に思いながら咲も、
「わっしょい!」
と焼き芋を口いっぱいに頬張りながら叫んだのだった。
その日はそのまま煉獄家に泊まっていくことになった咲は、夕食の後片付けを千寿朗と一緒に行い湯あみを済ませると、庭に面した縁側に座って一息ついた。
今日はとても穏やかな夜だ。
空も晴れていて、星が良く見える。