第4章 わっしょい
「えっ……煉獄さんとそっくり……」
体のサイズを変えただけで、まるで生き写しであるかのようにそっくりな容姿に、咲は唖然とした。
まるで大きさの違う双子のようではないか。
だが、どことなく千寿郎の方が目元に穏やかさがある。
杏寿郎が燃え盛る炎だとしたら、千寿郎はゆらゆらと静かに燃える炎といったところだろうか。
だがさらに驚くことが続いた。
「騒がしい。何事だ」
不機嫌そうな声を上げて、廊下をミシミシと鳴らしながら家の奥から着流し姿の男性が出てきた。
その男性の姿にも、咲はびっくりして口をあんぐりと開ける。
「れ、煉獄さんが……」
杏寿郎がちょっと年を取ったような姿をしていたからだ。
「父上、先日お話しした、私が預かることになった弟子です。本日から我が家で暮らします」
杏寿郎が二人の間に立ち、紹介してくれる。
「咲、こちらは俺の父上の槇寿郎だ」
咲は慌てて槇寿郎に向かって深く頭を下げた。