第4章 わっしょい
そんなやり取りからしばらくして、いよいよ咲が煉獄家に移る日がやって来た。
蝶屋敷の門前には、屋敷の面々がズラリと並び、その端に不死川の姿もあった。
「咲、辛かったり、やかましかったらいつでも帰ってきていいのですよ。蝶屋敷ではいつでも貴女の帰りを待っています」
ニッコリと微笑むしのぶ。
「わ~ん!咲さん、寂しいですぅ~!!でも、でも……どうぞ修行頑張ってくださいね!たまにはお顔を見せてください~」
なほ、きよ、すみ、が子猫のように「みーっ」と泣く姿を見て、咲の目にも涙が浮かぶ。
「うん!皆も今まで本当にありがとう!藤の花の香水は定期的にもらいに来るから、またすぐに会えるよ」
そう言って、自分よりも小さな少女達の頭を咲は優しく撫でた。
咲は末っ子であり、以前から「自分にも妹や弟がいたら良かったのになぁ」と思っていたので、この三人の少女の事はまるで妹が出来たかのように感じていたのだった。