第4章 わっしょい
ギャアギャアと言い争い始めた三人の戦いはしばらくの間続き、咲は止めようとしたのだが全く力及ばず、ただオロオロするしかなかった。
三者共に引かず、結局あみだくじで咲の修行先を決めることになった。
随分と安易な決め方ではあるが、咲としてはこの三人のもとであれば誰のところに行っても構わないと思っていたので、特に異論もなかった。
結果、咲を引き取るのは煉獄杏寿郎に決まったのだった。
「よもやああァァ!!」
ぐっと拳を突き上げ、聞いたことの無いような勝利の雄叫びを上げる杏寿郎に、大きな舌打ちをする不死川と、小さな拳をシュッシュッと目にも止まらぬ速さで振り抜いているしのぶ。
「そういうことだ、咲!これから君は我が家で修行するのだ!もちろん、師範はこの俺だ!!」
ガシッと肩を掴まれて、咲は少しドギマギする。
ずいっと目の前に迫ってきた太陽みたいな笑顔に、何故か少し頬が熱くなるのを感じた。
「くそー、煉獄てめぇ、咲に怪我させたらタダじゃおかねぇぞ」
「右に同じです」
ギリギリと唇の端から血でも流しそうな勢いで歯を食いしばりながら言う不死川と、ニッコリとドスのきいた笑顔を浮かべているしのぶの言葉など耳に入っていないかのように、杏寿郎はニコニコと嬉しそうに笑い続けていたのだった。