どんな世界でも女神は笑う。【D.Gray-man】※停滞中
第9章 アクマを狩る少年
向かい側の教会の中まで飛ばされる。
「だ、大丈夫ですか?モアさん。」
「ここ、どこ?」
「向かいの教会です。」
アレンの左手には弾丸が握られている。
「嘘、あなた、弾丸を受け止めたの!?」
モアは触ろうとする。
「触らないで!AKUMAの弾丸です。この弾丸には毒のウイルスが含まれています。AKUMAは自らの体を銃器にコンバートして、この弾丸を撃ち出すんです。撃ち込まれるとウイルスが急速に体内を侵食して…」
アレンの持っていた野良猫に黒いペンタクルが現れ、破裂する。
「助けられなくて、ごめんよ。」
モアは俯く。
「マルク兄さんはどうしちゃったの?」
「モアさん、AKUMA人間の死体をかぶって社会に侵入するんです。あれはマルクさんじゃない。マルクさんを殺し、なりすましていた、AKUMAです。」
「兄さんが殺されてた!?」
「来た!」
アレンが言って、モアと共に物陰に隠れる。
その瞬間、
「こらぁ!お前らここでなにしてる!?」
「警部!」
警部が来てアレンが声を上げる。
「うぉ。なんじゃこりゃ。」
「う、撃てぇ」
警部の声で警官が銃を撃つ。
「銃じゃだめです!逃げてください!」
アレンが声をかけるも、逃げる前にAKUMAに撃たれる。
「やめて。」
モアが呟く。
「「うわぁぁぁ。」」
「警部、みんな……。この化物!なんで殺すのよ!?なんで!」
「言っても無駄です、モアさん。望んでやってるわけじゃない。兵器として進化するようプログラムされてるんです。」
「あれはただの殺人マシーンよ!」
「違う。AKUMAは魂を内蔵した、生きる兵器なんです。その魂は製造者に支配され、罪に苦悩し、己の姿に絶望し、現実を憎悪する。そんな魂のフラストレーションがAKUMAを進化させるエネルギー源になるんです。あのAKUMAにも誰かの魂が入れられています。彼女はきっと、マルクさんととても絆の深かった人。AKUMAは機械と魂と悲劇を材料に作られるんです。人は誰しも心に闇がある。悲劇によってその闇が深くなった者のところに、製造者が現れ、AKUMAを産む。」
「悲劇。」
アレンの言葉にモアは昔を思い出す。