第3章 彼の思いを裏切って
また新しく1週間が始まった
午後の授業を受けながら私はふと杏寿郎について考えた
最近の彼はやたらと求めてくる
それ程我慢させてしまっているという事なのだろうか
彼は私のことを思って我慢してくれているのに私は他の人と楽しんでる...
そこでまた小さな罪悪感が生まれたが風前の灯火
直ぐに消し去り授業に集中すべく黒板に向き直った
――――――
はぁ、と溜息をつく
最近どうもおかしい
原因は分かっているのだが、いかんせんどうしようもないので夜に許嫁の彼女のことを想像しながら自分のモノをしごくのはもはや日常化としていた
高校卒業まではダメだと言いつけられている俺たちはまだ体を重ねたことは無い
生まれた時から許嫁同士として育ってきた俺と冬華
と言ったものの実感はなく、お互いの親が顔を合わせる時にしか会わなかったような関係だったのが急に変わったのは数年前
冬華のお父上が2人は許嫁らしくないから週に1度出かけるようにと言われたのがきっかけ
最初の頃こそお互いによそよそしく他人行儀だったが顔を合わせ言葉を交わす度に彼女に惹かれていった
そしてある日ついに俺は冬華に口づけをした
しまったと思ったが冬華は嫌がる素振りを見せることなくすんなりと受けいれた
1つ2つと焦らすようにキスを落とす
あまり調子に乗るとタカが外れてその体まで犯してしまいそうだったからだ
しかし人の気も露知らずの冬華はあろうことか
もっと...
と強請ってきた
それがストッパーが外れた合図だった
口内を犯すように舌を絡め合った
でも頭の中には父に言われた高校卒業するまではという決まりと彼女の意思を尊重したいとのは残っていて体を重ねるまでは及んでいなかった
それが積もりに積もって今に至る
いつも冬華の大人っぽい色気はすごい
それはこの前止まった時も同じだった
...だが、この前の時はどこか違ったのだ
こう、色気が更に増したというか一皮むけたというか...なんとも形容しがたいがそうだったのだ
そして何より鼻に着いたのは冬華についていた別の男の匂い
その両方が相成りこの前はより一層激しく求めたのだった
高校卒業まで我慢できるのか、限界が近いことは自分が一番悟っていた
はぁ、本当にどうしたものか...