第10章 冬、めぐる狐日和のなかで
通学鞄を肩に下げて、黒崎さんや石田さん、織姫さんや茶渡さんが待つ廊下に落ち合うため歩き出す。
その先では、たつきさんや水色さん、啓吾さんも賑やかに加わった。
自然と口角があがるのを感じて、たわいのない会話をする。
授業が疲れたとか、甘いもの食べに行きたいとか
もうすぐ2月だなあとか。
取り留めのない、くすっと笑い合える--そんな話。
変わらない道をみなさんと河川敷まで歩いた。
そよぐ風と川の景色を横目に、心の中でよしっと意気込んだ私は、前を歩くみなさんに声をかける。
「あの……っ。」
うん?とかどうした?って顔でみなさんが振り返る事で、意気込んだ心はしぼみそうになるけど。
お礼を伝えたいって決めていたから、言葉を詰まらせながらも口を動かした。
「えと……レコーダーのメッセージ、ありがとうございました!びっくりしましたけど、その、嬉しかったです!大切にしますっ」
言葉にして、みなさんを見つめる。
ついで思い出すみなさんのメッセージに、少しのくすぐったい気持ちと嬉しい気持ちが心に湧いた。
本当に、心に残るサプライズだ。
「何かと思えば、そんな当たり前のことをこの子は…」
「喜んでもらえたならよかったよ!」
「石津さん、根詰めてないかなって心配してたんだけど、安心したよ」
「よっしゃ、テスト勉強の予定立てよ「根詰めさせちゃいますよ、あさのさーん」
「被せんな水色!大事なことなんだから言わせてっ!」
「俺なんて大した事言ってねぇけどよ。
あれ、石田もやったのか?」
「ああ、したさ。………ってなんでそんな顔するんだ黒崎!」
「フツーの顔だよ、これが」
「まあ、なんだ。サプライズ成功って事でよかった」