第9章 心の奥にあるものは? トレイ・クローバー
「んぐっ!!」
トレイは私の口にタオルをねじ込み、頭の後ろで縛り上げる。
足をばたつかせていたら、足首を掴まれて、片方をソファの足に括り付けられ、自由だった腕もロープでがんじがらめに縛られた。
瞬く間に自由は奪われ、私は自分の非力さを知った。
「引っ越すっていうのは知ってたけど、まさか俺の隣だっただなんてな、探す手間が省けたよ」
「んんーっ!!ん!!」
怖い。何をされるか分からない。
視界が涙でぼやけてきて、頬をつたっていった。
「大体、一人暮らしだなんて更に危ないに決まってるだろ?はお馬鹿さんだなぁ」
悪寒がした。
確かにそうだ。
家族に迷惑をかけたくなかっただけなのに、結局それは思うツボで自分で自分の首を締めていた。
「泣かないでくれよ、俺はお前の恋人だろ?」
山吹色に陰りが見える。
この人は…
すると、ポケットに入っていたケータイが着信音を鳴り響かせた。