第9章 心の奥にあるものは? トレイ・クローバー
部屋の中は質素だった。
壁に1枚、バラの絵がかかっているだけで特にこれといったものは何も無い。
それでも毎日掃除をしているのかホコリは1つもなかった。
でもいつ何をされるか分からない。
私は今、自分をストーカーしていた人の家にいるのだ。
「とりあえずここにかけてくれ」
トレイは少し低めのソファを指さす。
ーなにか危険なことがあるんじゃ…
私は座らずにソファを見つめて立っていると、トレイが腕を回してきた。
「ソファには何も無いから、座ってくれていいぞ?」
ニコリと浮かべられているその笑顔が気持ち悪い。
私はソファにゆっくりと腰掛けた。
「まあ…何もしないってわけでもないけど」