第7章 誰のせい?② ジェイド・リーチ
雲ひとつない晴天。
春の風が心地よく吹き抜けていき、私の頬を撫でていく。
私はケータイを見つめながら気が気でない様子で彼を待っていた。
あの浮気を見て以来、初のデートだ。
あの日の夜、一緒にご飯に行こうと誘われていたが、泣き腫らした目で会う訳にもいかず、実際に残業だったし、断ってしまった。
何度か会社の中で会ってもお互い、腫れ物を扱うように接してしまい、正直、まともに会うのは今日が初めてだ。
画面にLINEの通知が来た。
『ごめん、今日は行けなくなった』
心臓が変に跳ねる。
目の前がゆっくりと歪んでいっているような気がして、とりあえず、私はベンチに座った。
ーそ、んな…
本当に浮気だったんだ。
あの女の人と会うために…
久しぶりに会うから、貴方が浮気していないと、あれは事故だったんだと、信じたかったのに。
オシャレして、メイクしてきた自分が愚かで馬鹿らしく思えてきた。
ーもう帰ろう。
帰ろうと思って立ち上がると、聞き慣れた声に話しかけられた。
「もしかして、さん?」
「あれ…ジェイド先輩」