第5章 薔薇を塗ろう② トレイ・クローバー
「なぁ、最近、のやつ、おかしくね?」
エースは手を頭の後ろで組んで、青空を仰ぎながら横にいるデュースに問いかけた。
「あぁ…確かに、なにかおかしい感じはするな」
デュースは頭の中で珍しくこのバカが勘がいい、とは思ったがあえて口には出さなかった。
「いつからだろな、な〜んかこうやつれてるというか、しおれてるっつうか…」
エースが眉根を寄せて、う〜んと唸りながら首をひねる。
デュースは思い出していた。
ここの所、は確かに何だか上の空だ。
前みたいにグリムが逃げ出しても血気盛んになって追わなくなったし、俺たちがからかっても微笑むだけだ。
少し前はそうではなかったが、急にというか、徐々にこうなって言った気がする。
「1ヶ月…いや、2ヶ月くらい前のような…ちょうど」
「お、〜!」
デュースが結論を出そうとしたのを遮って、エースはに呼びかける。
肩に乗ったグリムが後ろを振り返り、の肩を叩くと、は口元に薄く微笑みを浮かべて振り返った。