第3章 リンドウを貴女に ジェイド・リーチ
「ジェイド先輩」
昼下がりの庭。
優しい緑色をした芝生にぽつりと咲くタンポポ。
柔らかい風が吹き抜けていった。
「はい、何です?」
この時間は大体、ジェイド先輩と過ごすことが多い。
グリムはエースとデュースと遊んでいるし、何よりジェイド先輩と一緒にいると心が安らぐ。
「もし、私が帰れる鏡を見つけたって言ったら…どうします?」
私はジェイド先輩の方を向いて問いかけてみる。
ジェイド先輩は表情を変えずに私を見つめると、ニコリと目を細めて笑った。
「その鏡を壊しますかね」
「ひえっ…」
ジェイド先輩ならやりかねない。
そう思ったが、きっと冗談だと私は自分に言い聞かせる。
「その話は置いておきまして、私、最近、山で見かけたこの花が好きでして」