第16章 囚人のワガママ レオナ・キングスカラー
「整列!」
囚人たちが廊下に1列に並ぶ。
ここは世界的にも珍しい男女混合型の収監施設だ。
「138番、139番…140番はどうした」
私は1人分のスペースが空いた空間を見つめる。
背後にいる部下に尋ねると、知らない、と首を振る。
「また寝てるのか…?」
思わずため息が出る。
夕焼けの草原の第2王子とはいえ、このような愚行は許されない。
他にも目に余ることはたくさんあるが、私は職務を部下に託して140番の部屋へ向かった。
普通、男性囚人には男性看守が担当するものなのだが、私は敏腕看守として認められ、こうして女性看守ながらも男性囚人を見ることが稀にあった。
140番がいる牢獄につくと、私は荒々しく柵を蹴る。
「起きなさい!140番、キングスカラー!」
艶々した黒髪がさらりと揺れ、気だるそうにキングスカラーは上半身を上げて、あくびをし、ボリボリと頭を掻いた。
「チッ…うるせぇな…」
ギラつく緑色の瞳が私を睨みつける。
美しい顔立ちの中に何処か野性味を感じ、まるで自分が食べられる餌側に回ったようだ。
でも違う。
今あっちに自由はない。