第22章 柵
会うのはあの日以来…唐突に求めてきたサスケを受け入れた記憶が浮かぶ。あの時はサスケから逃げたくない一心で、結果されるがままになった。
あたしはサスケが好きなんだから、彼の存在を近くに感じて嬉しくない訳がない。ただ、なんて大それたことをしたんだろうと後になって慌てたけれど。
「…何だ?」
前回の出来事を思い返すシズクが赤くなっているのに気付いて、サスケは不思議そうに尋ねてくる。
「ううん、何でもない…」
サスケは何とも思ってないの…?
落胆するようなどこか不安な気持ちを切り替えるため話題を作る。
「任務中だったんでしょ?ごめんなさい」
「…ま、色々とな。ほぼ面倒事だ」
本当に時間を取って話をしてくれる彼を意外に感じながらも、嬉しさが顔に滲み出てしまう。
「言っておくが復讐を忘れた訳じゃない」
それに気付いたのか、現実に引き戻すべくサスケに念を押されてしまった。
「今は…イタチより先にやるべき事がある。どうせお前は口を割らないしな」
投げやりなようでいて、彼の中できちんと優先順位はついているらしい。
彼の予定はあるにしろ、その合間を縫ってこんな風に会えたら、顔を見られたら安心出来るのに…
「ねえ…サスケ。会いたい時はどうすればいい?何か連絡手段はないかと思って」
今日の彼に今までのような威圧感や恐怖はなく、まともに会話出来たことが嬉しくて舞い上がっていたかもしれない。続く彼の言葉に耳を疑った。
「何故そんなに会う必要がある?」
サスケは眉一つ動かさず、明日の天気でも尋ねるかのように事も無げに告げたのだ。
「……サスケは…もうあたしに会いたいと思わないのね…」
動揺を隠そうと努めたが声の震えは止まりそうになく、次第に体も強張ってしまう。
「木ノ葉で一緒に過ごした時間は…」
「木ノ葉でのしがらみは断ち切った」
彼は抑揚のない声で容赦なく言い放った。懸命に訴えるも遮断されショックを受けたシズクの顔を見て、サスケは少し苛立たしそうな目で更に続けた。