第14章 疑惑
「お前の尻尾を掴み、逃げたら捕縛する…それが暗部としての俺達の役割だ」
「暗部…?じゃあ最初から…」
ただの下忍のチームじゃない…つまり、元々自分を監視下に置く為に編成された班だったということだ。ヒタキが感知してセツナが素早く動く。死の森で思い当たる場面があった。
「お前が大蛇丸の部下だとすれば、俺達はお前を上に引き渡さないとならない」
ヒタキが決意を込めたようにこちらを真っ直ぐ見据えた。
「ただ、里外に出られちゃ流石に対応しきれない。不確定要素が多過ぎてリスクが高いし…感知と捕縛が一応専門だが、お前には通用しなさそうだからな」
話しぶりからしてシズクの能力も知られているらしい。
「だから話せることは今、全て話してくれ」
「あたしは…大蛇丸の部下なんかじゃない。誓って言うわ」
ヒタキの問いに対してははっきりと否定出来る。だが、だからといって堂々と振る舞えるだろうか…?イタチに、暁についている以上、木ノ葉からすればシズクは敵と見なされてしまうだろう。
「…じゃあ誰の指示で里へ入ったんだ?」
「ヒタキ…!」
さらに詰め寄るヒタキを制そうとセツナが声を上げる。その質問には弱々しく拒否するしかなかった。
「……言えない。ごめんなさい…」
「…シズク、自分の置かれている立場をよく考えろ」
ヒタキは半ば説得するように続ける。
「このままでは、この里にお前の居場所はない」
居場所はない…里を追われる?
そこで初めて気が付いた。自分の立場、その認識の甘さに。
雨はだんだんと激しくなってきていた。ヒタキの言葉が、降り続く雨と共に暗闇から鳴り響いてくるようだった。
「……火影様が死んだんだ」
その知らせにシズクは息を呑んだ。
「里も滅茶苦茶…傷付いた人も大勢いるこの状況で、大蛇丸の他にも不穏分子があるのは良いとは言えないからな」
「待てよヒタキ」
堪えきれずにセツナが割って入った。