第11章 謝罪
「すまなかった…!」
耳元近くに熱っぽい囁きが響く。怪我を負っている箇所には触れないように、もう一方の腕がそっと腰に回される。壊れ物のようにふわりと抱きすくめられた。
だんだんと辺りがざわつき始めていたが、サスケはしばらく顔を上げなかった。シズクも恥ずかしさよりサスケの真摯な謝罪に心を打たれて、彼の気持ちを静かに受け止めた。
その後第三次試験の予選が始まった。一対一の試合形式で、ランダムに選ばれた二名が場内に入り相手を倒した方が勝者となる。
いきなり一回戦からサスケの試合が始まった。疲れか怪我のせいなのか途中不安げな動きはあったものの、最後には華麗な技を決めて勝ち上がった。そしてすぐにカカシに連れられ、別室へと下がってしまった。
シズクの班は、試合中にセツナがシズクを庇うため割って入り、シズクは負け、セツナは失格となった。それを受けてかヒタキは試合を棄権し、班の全員がここで試験終了となってしまった。
「セツナ…」
どうして……あたしだって戦えるのに…。傷も癒えてきてた。あたしも、自分の力を試したい…
「あいつは過保護なとこあるからなあ」
失格が言い渡され病院へと搬送されるセツナを見送るシズクの横で、頭に手をやりながらヒタキが息をつく。
「分かってても、体が動いちゃったみたいだね。それはシズクもよく理解出来ると思うけど?」
彼がサスケの事を言っているのはすぐに分かった。自分も似たような行いをしているだけに文句は言えない。
試験、終わってしまった…
実力のある二人の行動がますます引っ掛かるが、終わった今言っても仕方がない。自分の為に怪我を負ったセツナの具合も知りたいし、サスケのことも気がかりだ。シズクは怪我人が搬送されている木ノ葉病院へ向かうことにした。
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