第10章 君と見たい未来
結局昨日の夜は
次の日の仕事が早いからと
肩を落として帰って行った大倉さんと
今日の夜一緒にごはんを食べる
約束をした
何を作ろうか?
どんな話をしようか?
そんな幸せな悩みで
1日はあっという間に過ぎて行く。
仕事から家に帰り
ごはんを作っている今も
早く大倉さんに会いたくて
仕方がなくて
そわそわして落ちつかなくて
家の中にインターホンの音が
響いた瞬間
急いで玄関に向かい
扉を開けて
「おかえりなさい」
そう言って一目散に
胸に飛び込んだ
でも…
「ただいま…ひなこちゃん♪」
そう言って
ふわりと優しく
私を抱きしめてくれる腕も
声も…
呼び方も…
なんだか私が知ってる
大倉さんではなくて…
恐る恐る顔を上げると
嬉しそうに笑って
私を抱きしめてくれている
丸山さんの後ろで
悲しそうな顔をした大倉さんと
目が合って
私はそっと
私を抱きしめてくれている
丸山さんの腕の中から
抜け出した…