第10章 君と見たい未来
ひなこside
大倉さんが私を好きになってくれる。
そんな奇跡みたいなことは
想像さえしていなくて…
気持ちを伝える時まで
意地悪な大倉さんに少し腹が立つけど
それ以上に
自分の身に起きた奇跡が
信じられなくて…
大倉さんを抱きしめている手が
離せないでいる…
手を離したら
いつもみたいに意地悪な笑顔を浮かべて
“冗談に決まってるやんか?“
そう言われてしまいそうで
抱きしめている手に力を入れると
そんな私の体を押し戻して
私の顔を覗き込む大倉さんと目が合う
大きくてキラキラした優しいの目が
私を見つめていて
その目が
“大好きだよ"
そう言ってくれてる気がして
嬉しくて笑い返すと
なぜか慌てたように大倉さんは
私の体を引き寄せて
息もできないくらいに
力いっぱい私を抱き締めた…