第10章 君と見たい未来
朝目が覚めると
一緒に眠ってたはずの
大倉さんはもう私の横には
居なくて
小さな白い紙に書かれた
「昨日はありがとう」
の文字だけ残されていた
現実ってやつは
本当に残酷だ…笑
“今だけでいいから…“
私のついたそんな小さな嘘を
見逃してくれたりはしない
あんなにたくさんキスをして
体中で大倉さんを感じても
今私の目の前に大倉さんはいなくて
きっとそれは明日も明後日も
一年後でも
変わらず同じなんだと
思い知らされる
私を好きになってほしい
でもそんな日はいつまでたっても
くることはない
そんな
知りたくもなかった現実に
あぁ…まただ
泣きたくないのに
じんじん瞼が熱を帯び始める…
でも今はまだダメだ!
まだ今日は始まったばかりで
仕事にだって
行かなきゃいけないんだから
泣いてる暇なんて無い
だから今は冷たい水で顔を洗って
無理やりに引っ込めた涙は
今日の終わる頃
ちゃんと体から出してあげよう…
だからそれまで
もう少しだけ待っててね…