第10章 君と見たい未来
大倉side
"いらないんなら私にください"
そう言って
俺を見つめるひなこの目から
涙が溢れてて
情けないのも悲しいんも
全部俺のはずやのに
なんでひなこが泣いてんの?
そう言ってしまいたくなる
でも…
触れた唇から伝わる熱は
すごく優しくて
傷んでぼろぼろの心を
優しく包み込んでくれる…
まだちゃんと
自分の気持ちも伝えてもないのに
ずるいよなぁ…
なんて分かってても
今の自分にはそんなこと考える
余裕も無くて
ゆっくりと俺から離れようとする唇を
引き寄せて
もっともっとと求めてしまう…
苦しそうに開いた唇さえも
まだ離したく無くて
さらに奥を求めたら
ひなこは俺の肩を押して
小さな抵抗をする…
仕方なく唇を解放した俺の
「ひなこが悪いんやで…?
俺になんか優しくするから…」
そんな優しくない言葉にさえ
少し驚いた顔をした後
ひなこは真っ赤な顔に笑顔を浮かべて
「いいよ…」
そう言ってもう一度
俺にキスをする…
ほんまにひなこは
どうしようもないあほや…笑
今のが俺から逃げる
最後のチャンスやったのに……
チャンスを無駄にしたんは
ひなこ自身やから…
もう今日は
この後何があっても
どんなに嫌がっても
泣いても…
ひなこを離したらへん………。