第10章 君と見たい未来
部屋の中に大倉さんを招き入れ
コーヒーを出した頃には
小さく震えていた大倉さんは
嘘みたいに消えて
「ここに来るん久しぶりやなぁ」
なんて笑っていて
その笑顔は私の好きだったものとは
違う嘘つきな笑顔で
見ているこっちが泣きそうになる…
だから…
「私…その笑顔嫌いです…
何かあったからここに来たんですよね?
無理に笑わなくていいです
見ないであげますから…
ちゃんと話してください
どんな話でも
何も言わずに
最後まで聞いてあげますから…」
そう言って大倉さんの隣に腰を下ろし
大倉さんに背中を向けると…
大倉さんは
ふっと小さく笑って
「これやからひなこは嫌やねん…笑
俺のことなんでも
分かっちゃうんやもんなぁ…」
そう言って大きな息を
一つ吐き出した後
ゆっくりと私の背中に向かって
話し始めた…