第9章 見たくない真実との向き合い方
気分はアゲアゲのまま
鼻歌なんか歌いながら撮影現場に着いた俺は
昨日のことなんか忘れたかのように
先にメイクを終えて漫画本をパラパラと
軽快にめくる丸に
「おっはよーさん、丸♪」
なんて声をかけ
「…おはようさん。
ご機嫌で何よりで。」
という丸には稀に見る
ここは北極でしたっけ!?
とツッコミたくなるぐらいの
冷たーい返事が返ってくる…涙
それでもめげずに
「朝から何読んでんの…?」
そう話かけてみたら
楽しげに読んでいた漫画をポイっと
机に放りなげた丸は
隣に座る俺の顔を
まじまじと見つめてきて
「…何…?
ちょっと…怖いんやけど…笑」
なんて
少々ビビり気味な俺に
「ムカつくなぁ…ほんま。
ひなちゃんそばにおらんのに
なんでそんな幸せそうなん…?
もっと悲壮感たっぷりに打ちひしがれてたら
ええのに…ちっ…!」
なんてご丁寧に
舌打ちまで吐き捨て
俺にぷいっと背を向けて
また漫画を読み始める…
大人気ないとは
こいつのためにある言葉かもしれへん笑
なんてあきれながらも込み上げてくる笑いを
噛み殺しながら…
「昨日の俺は…
丸が期待してと通りの
悲壮感たっぷりで打ちひしがれまくりな
俺やったわ…笑」
そう丸に聞こえないように
小さな声でつぶやいてみた…