第8章 過去と痛みと現在と
ソファーで眠りについたせいで
少々痛む首を押さえながら目を開けると
外はすっかり明るくなっていて
誰かと繋がっていたはずの電話は
いつもの待ち受け画面に戻っていた…
あれは大倉さんに会いたい私が見た
都合のいい夢だったんだろうか…?
でも…
スマホには
着信履歴が残っていて
あれは夢じゃなかったんだと
私に教えてくれる。
一言も喋ってはくれなかったし
もしかしたらあれは
大倉さんでさえないのかもしれないけど
それでも
こうして繋がっていられる時間が
たまらなく嬉しくて仕方ない
だから
頑張ってみよう
もしまた非通知の電話がかかってきた時に
たくさんくだらない話をするために
辛くても今日という一日を
ひたすら頑張って楽しんでみよう