第3章 新しいおもちゃ
車を降りて
人気のない海辺を歩き出した頃には
ひなこもやっと
諦めモードに入った様子で
俺の後ろを何も言わず
静かについてくる…
砂浜に腰を下ろし
ポンポンと隣を叩くと
俺から少し離れた場所に座ろうとするから
そんなひなこの手を引き寄せ
隣に座らせると…
どんよりとした
小さため息が聞こえてくる…笑
少しの沈黙の後
「あの…」
そんな控えめなひなこの声がして
「うん…?」
そう短く答えると
「私には…
どうしても分からないんですけど…
どうして私に構うんですか?
私なんて…
そこら辺どこにでもいる
普通すぎるくらい普通の人間で…
大倉さんがデートしたいなら
周りにもっと綺麗な人
いっぱいいるんじゃないですか?」
そんな言葉を
すごく真面目な顔で投げかけてくる…
だから正直に
「確かに…綺麗な人は見飽きるぐらい
見てきたし、たくさんいてるよ?」
そう答えると
「だったら別に私じゃなくても…」
なんてまた
俺から離れようとする…
だからそんなひなこの手を掴んで
「でも…俺はひなこがええ笑
可愛いだけならどこにでもおるけど…
俺の知ってるこのひなこは
ここにしかおらんやんか笑」
そう言って
掴んだ手を握りしめると
ひなこは
一瞬驚いたように俺を見つめて…
その後さっきと同じようにまた
どんよりと小さく
ため息を吐き出した笑