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暁の契りと桃色の在り処 外伝 【イケメン戦国】

第6章 安土城の夏の過ごし方


バシャッ!

あさひは、背後から近づいた信長に頭から水をかけられた。

「きぁぁー!!」

あさひの喜ぶ声が、叫び声のように城に広がる。
もちろん、城門をくぐった秀吉にも。
女中頭の咲の耳にも。

『なんだ!あさひの叫び声?』

秀吉は、走り出す。


「信長様!驚いた!あははっ!もう!」

『ふっ、光秀と話してばかりだからな。仕置きだ。』


『あさひ!あさひ!どうしたんだ?
何があった!』

『あさひ様?姫様?』


「わっ、どうしよう。信長様、秀吉さん帰って来ましたよ! それにお咲まで!」

『ふっ、慌てるな。家臣達も集まるだろう。見せ付けてやろうぞ。』

「見せ付けるって…。わぁ!」

信長は、あさひの腰に手を当て引き寄せた。
そして、反対の手に持つ桶を二人の頭上で傾けた。

バシャーッ!

「ひゃぁー!」

『んなぁ! あさひ!お、御館様?』

『はぁ!あさひ様!』

秀吉と咲の驚いた声が広間に広がった。
ククッと光秀は笑い始める。

「もう、信長様ったら!…、え?んっ!」

信長はにやりと笑うと、噛み付くような口付けをした。
あさひは、髪から足元まで濡れ、水が滴っている。
甚平が、肌に吸い付き体の輪郭もはっきりとしていた。

『御館様! あさひ!どういうことですか!』

『あさひ様!なんて格好を!』

自分達に黙って水掛遊びをしていた。
それは、二人の周りに散らばる桶と柄杓を見れば察しがついた。
信長とあさひのあられもない濡れ鼠な姿に、秀吉も咲も怒り始める。

『だから、城下の見回りに? 御館様!あさひ!風邪を引いたらどうするんだ!そんな肌を出した格好で!』

『あさひ様!姫様がその様に肌を出して!水遊びなど!』

『あさひ、逃げるぞ。光秀、桶の片付けら任せた。』

「えっ、光秀さん?」

信長はあさひを、横抱きにし足早に天守へ駆け登る。笑いながら光秀は桶を片付け始める。
咲は体を拭く布を準備し、秀吉は湯殿の準備を始める。

そして、
『御館様! あさひ!』
『あさひ様!』
と、叫びながら天守に向かうのだった。


このあと、水遊びと肌を出しすぎる甚平について、二人が叱られたのは言うまでもない。



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