第15章 魔王様の徒然なる育児日記
『なんだ、報告書を見るのであろう?』
『あ、…はい!』
『優秀な貴様だ。整理は出来ておろうな?』
『ゆっ、優秀…。』
『早く行くぞ。』
『はいっ!』
上手くごまかした信長と嬉しそうな秀吉の姿に、あさひは、苦笑いをした。
『てる、くるくる。』
『奏様、ご無事で安心しました。』
『くるくるー。』
『風車、綺麗ですね。』
信長の肩に乗る奏信を見上げる輝真が、微笑みかける。
何とも言い様のない幸せを、あさひは噛み締めていた。
「あれ?」
『…?あさひ様、何か?』
「あれ、どうしたの?」
『え?あっ!』
咲が吉之助を振り返る。
すると、吉之助の隣には、いつの間にか光秀が並んでおり、にやりと笑うと金平糖が入った風呂敷を抱えて脇道に消えていった。
「なんでもお見通しだね。」
『えぇ、流石でございます。』
ふふっと、顔を見合わせたあさひと咲は小さく頷くと、夕日に照らされた安土城に向かい歩き始めた。
『ちーうえ。またっ、ねっ!』
『…あぁ。またな。』
男同士の約束を交わし、笑い合う。
信長と奏信の二人だけの秘密は、これからも続く。
完