第12章 I and Mysterious Thief
快斗「さーて、どうしてやろうか。」
「・・・あの、快斗お兄さん。」
快斗「その堅苦しい呼び方変えるまでは澪の質問答えないからな。」
不貞腐れる青年。その膝の上で、金髪の髪がさらりと揺れる少女は少し困った表情をしていた。
「・・・快斗。」
快斗「ん、なんだ?澪。」
「どうして私、快斗の家にいるの?」
ビルの屋上から移動してきたのは、青年の家。
快斗「あそこいたら澪が風邪ひくだろ。」
「ひかない。」
ふい、と顔を背ける少女。しかし、そんな態度も青年からすれば可愛いだけだった。
快斗「ま、作戦考えるのに外より家の中の方が安心だからってのが理由かな。誰かに聞かれる心配もないわけだし。」
「私から漏れると思わないの?」
快斗「思わないね。・・・つーか、それならもうとっくに俺捕まってるだろ。」
よしよし、と頭を撫でる青年に、それを嫌がらない少女。
「・・・それで、どうするの?多分、あの宝石はキッド用に買ったものだと思うけれど。」
快斗「あの爺さんのことだし、挑戦状叩きつけてくるの目に見えてるしなーーーー。どうすっかな。」
「予想はついてるの?」
快斗「まぁ、あの爺さんのことだ。屋上とかに用意するんだろうけど・・・。」
「・・・。」
少女は青年の方を向いて、呟く。
「博物館。」
快斗「・・・博物館?」
「あそこ、警備増やすんだって。」
快斗「・・・。」
目を丸くして、ため息を零す。
「ごめん、いらない情報だったよね。」
快斗「・・・いや、違う。ほんと、先越されてばっかだなって反省してたとこ。」
少女に向かってふわりと、笑った。
快斗「やるじゃねえか。俺も負けてらんねぇな。」
「・・・。」
今度は少女が目を丸くしていた。
快斗「?どうした、澪。」
「・・・ううん。何でもない。頑張る。」
快斗「え、あんまり頑張られると俺の頑張り減るよ?いいの?」
「無茶しなくなるなら、いいかなって。」
そう言って笑う少女は、心底嬉しそうだった。
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補足
金髪水色目のとき=フォーギヴン=澪
黒髪黒目のとき=天宮 楓
という名前になります。今後は澪、フォーギヴンと呼ばれていても発言の時は
楓「」
で統一します。分かりにくくて大変申し訳ありません。