第7章 Small Woman
楓「シェリーを見つけた?それ本当なの?ジン。」
ジン「あぁ、間違いない。俺の車に発信機と盗聴器をつけやがった。」
少し不機嫌になりながら、少女は言葉を続ける。
楓「まぁ、見つけたならいいわ。それで?一体どこで。」
ジン「東都の米花町だ。・・・お前もこの辺りに住んでいなかったか?フォーギヴン。」
その言葉に、少しムッとしながら返事を返す。
楓「疑わないでくれる?折角の休暇中なんだもの。・・・血の海を作る気なんて一切ないわ。」
ジン「ハッ。誰の血の予定だ?」
楓「そりゃ勿論、貴方の血じゃないの?」
ジン「・・・やれると思ってるのならやってみろ。」
楓「そのうちね。それで?シェリーを誘き寄せる作戦でも立てたのかしら?」
ジン「ピスコから連絡が入った。シェリーを捕まえた、とな。」
ピスコ。そういえばそんな奴も日本には居たな。
楓「・・・そう。」
ジン「なんだ?シェリーに思い入れでもあったか?最後に一目くらいなら会わせてやらねぇこともないが。」
楓「何もないわ。そういえば、ピスコなんて名前のコードネーム持ちも居たなと思っただけ。」
ジン「ハッ!老いぼれにも興味はねぇか。流石はメインサーバー様だ。」
ジンが嗤っているけれど、そんなことはどうでも良かった。
楓「ねぇ、ジン。きちんと外堀は埋めるべきだと思うの。」
ジン「・・・あ?」
楓「少しの傲慢で、油断を生むのよ。知ってる?」
ジン「・・・俺が傲慢だとでも?」
楓「さぁ。パーティーで傲慢になるのはいつだって、自分が優勢に立っていると自信を持っている人間だもの。・・・そうね、敢えて言えば、」
一瞬間を置いて、哂う。
楓「シェリーを捕まえた、と高を括っている老いぼれとか、ね。」
ジン「・・・フン。」
ブチッと電話が切られる。切られた電話をベッドへ放り投げ、パソコン画面を見つめる。
楓「どうするの?探偵さん。」
画面には、ホテルの様子が映し出されていた。