第1章 ライオンの王子様
教室へ戻ると何やら騒がしい。
「ねえ、どうしたの?」
「あ、裕香あのね、今日席替えするみたいだよ!」
「え、席替え?えー!私あの席から離れたくない!」
近くにいたクラスメイトに聞いてみたら予想外の言葉が。
窓際の一番奥の席。
つまんない授業を聞き流すのも、こっそり寝ることも出来るし。最高の席なのに…これで前の席なんかになったら泣く!あ、こんなこと言ってたらフラグになるから言わない、もう言わない!
そんな考えが表情にでも出ていたのか、隣の月島くんから冷たい視線を感じる。
「いい加減授業をサボろうとかいう考えやめたら?」
「うっ…だって眠くなるじゃん…」
「あ、ツッキー、橘さん大地さんたち何だって?」
「何かね、私たちに1年の連絡係頼みたいって」
「連絡係?え、それって1年のまとめってこと?凄いよツッキー!橘さんも!」
「別に凄くはないデショ」
「なんかいきなりでびっくりだよね」
山口くんやクラスメイトと話していたら担任がやってきて、噂になっていた通りの席替えが…
もうやだよこの席から離れたくないよ…
「裕香、ほら次だよ引いてきな?」
「ええー…引きたくない…」
「そういうことなら、ここにするか?」
「え、絶対やだ」
隣の子に順番だって教えてもらったんだけど動きたくなくて机に突っ伏せば、にっこりと笑顔の担任が指差したのは教卓の前。思わず真顔になって拒否して慌てて立ち上がると祈るようにしてクジを引く。
どうか後ろの席になりますように…!
寧ろ今の席のままで良いですお願いします!
ドキドキしながらゆっくりと紙を広げると…
廊下側の後ろから2列目……
悪くはないけど微妙…
後は周りのメンバーだな。なんて思って早速一番仲のいい子にクジの結果を聞いたらちょっと離れたところで。
はぁ…
廊下側だから隣の席が誰になるか、で天国か地獄かが決まる気がする…
全員がクジを引き終わり、担任の指示で一斉に動き出す。
さて、誰が来るのか…………え?
「…何その顔、隣が僕で不満なわけ?」
「めめめめ、滅相もない!」
「まァ、寝てても起こす気ないケド」
「うぐ…」
私の表情を見て文句を言ったのは月島くん。
…これから授業で眠れそうもありません…
あぁ…コレは地獄…かな……泣きたい…