第7章 文化祭という名の…
そしてあっという間に時刻は12時半。あたしたちは半分に区切られたコートでアップを始めていた。隣のコートにはもちろん帝光の皆もアップを行っている。ギャラリーと体育館のありとあらゆる窓には人が溢れかえっていた。
凜子「凄い人だね!やばい、なんか緊張してきた」
『これぐらいで緊張してたら、全国では戦えないよ?去年の人数の比じゃないでしょ?』
優希「そりゃぁ朱音と茉実は試合に出てたから大丈夫だけどさ!」
茉実「何言ってんの。私だってちゃんと緊張してるよ」
凜子「ちゃんと緊張って何!?」
雅「捺美、大丈夫?」
捺美「…さすがに今日は眠くはないかな」
『それは心強いよ、捺美』
茉実たちは言葉とは裏腹に、きちんとリラックスできている。動きも柔らかい。1週間前に帝光と練習試合を行うって言った時はさすがに何でそんなこと勝手に決めたのと怒られてしまったが、今では楽しみにしてくれているのが分かる。ふとギャラリーに目を向けると、お兄ちゃんを見つけた。身長がずば抜けて高いから見つけやすい。その隣にお父さんとお母さん、茉実の両親を見つけた。茉実に教えて、一緒に手を振る。お母さんたちもあたしたちに気づいてくれた。
汐音「朱音、そろそろコートを整備するから一旦ベンチへ」
汐音先輩に呼ばれ、あたしたちは練習をやめた。そしてそのままベンチに戻る。体が固まるといけないので、アップと柔軟の手を休めないことを伝えて。そしてそのままミーティングを始める。藍からの情報をもう一度伝えてもらう。情報収集において藍の右に出るものはいない。そしてあたしがいないベンチを任せられる大切な相棒だ。それから作戦をもう一度確認する。