第7章 文化祭という名の…
文化祭2日目。今日は外部からの入場も許可している。他校の制服や小学生に高校生、子供を引きつれた保護者の姿もあった。そしてあたしも例にもれず、家族を招待していた。クラスの射的屋の手伝いをしていると不意に名前を呼ばれた。そこにはお父さんにお母さん、お兄ちゃんとその友達の健君、そして茉実のお母さんとお父さんがいた。
『来てくれてありがとう!射的、やってく?』
兄「やめとく。こんなに並んでるんなら疲れるし。健はどーする?」
健「智也がやらねーなら俺もやらない。それより、久しぶりだね、朱音ちゃん。また可愛くなったね。それに本当に雰囲気も大人になったね」
『ありがとう、健君。お世辞でも嬉しいよ』
健君はお兄ちゃんの親友で、小さい頃からお世話になっている、もう一人のお兄ちゃん的存在だった。
健「お世辞なんかじゃないけどな」
兄「人の妹を口説いてんじゃねーよ」
お兄ちゃんが健君の頭を軽く叩くと、教室から女の子の黄色い声が飛んできた。妹のあたしが言うのもなんだけど、お兄ちゃんはモテる。身長も高いし顔もかっこいい。それに何だかんだ優しいのも知っている。健君も負けず劣らずかっこいい。そんな二人がそろえば、こうなるのも予想出来た。
兄「おい朱音、今時の女子中学生はこんなにませてんのか?俺、ここに来るだけで10人に連絡先交換してって頼まれたんだけど」
『あーはいはい、自慢話なら聞かないよー』
あたしが無表情で耳を抑えると、怒ったお兄ちゃんが頭をぐりぐりしてきた。痛そうに見えるけどそこまで痛くない。やっぱりお兄ちゃんは優しいと思いながら、お約束のように痛い痛いと伝える。すると女の子の悲鳴が更に強くなったかと思うと、いきなり教室の扉が開いてカラフルな頭が現れた。
「「「「「朱音(さん)(っち)(ちん)!!!」」」」」
各教室の模擬店の衣装であろう服を身に纏い、息をみだしているキセキの世代がいた。