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It’s a miracle!!!

第7章 文化祭という名の…


征ちゃんが封筒を、開けた。開けてしまった。そしてマイクを持った。

「時間をとってすまない。それでは発表する。第1回ミス帝城は、帝光中3年6組綾瀬志保さん」

征ちゃんはそこで言葉をやめ、綾瀬さんが出てくるのを待った。そして普通に賞状と賞品を渡す。会場からも大きな拍手が鳴り響く。そして征ちゃんが一礼をしてこちらに向かい、涼君にあたしを解放するように告げた。あれ?もしかしてあたしが嫌がるのを見て、言うのをやめてくれたのかな?なんだ、征ちゃんってやっぱり優しいんだ。楽しんでるなんて思ってごめんね。この気持ちが届くように征ちゃんにニッコリと微笑んだ。そして征ちゃんも、目を細めるどころか完璧に閉じて微笑んだ。征ちゃんが微笑んだ?

「ではここで特別賞を発表する。特別賞に輝いたのは、鈴城中2年1組若槻朱音さん。さぁ、朱音。前へ」

…前言撤回。やっぱり征ちゃんは全力で楽しんでるようだ。だって今、あたしの固まった顔を見て笑ってるもん。心底楽しそうに。さっきの張り付けた微笑みではなく。

「だーから朱音っちはそれ、渡したくなかったんスね!」

隣で涼君が征ちゃんの手にある封筒を指さして笑う。会場はざわめき出す。あたしが手に持っていたはずのマイクを、いつの間にか梶田君が持っていた。

梶田「えー、ここで実行委員から説明させていただきます。今回朱音会長はミスコンにエントリーされていませんでした。ですが皆さんから頂いた票を開票していると、断然一位で朱音会長の名前がありました。ですが、ミス帝城はただ一人。せっかくエントリーしてくださった皆さんに申し訳なく思い、朱音会長を特別賞ということにいたしました。お分かり頂けた方は拍手をお願いします」

梶田君が言い終わると、会場からはこれまた盛大な拍手が降ってきた。征ちゃんを見ると、早くこっちに来いと言われているようだった。ここまで皆に祝福されて、断るわけにはいかないと思い、征ちゃんから賞状と賞品を受け取った。

『えっと…皆さんありがとうございます。このような賞を貰えてとても光栄です。ですが今日の主役は優勝した黄瀬くんと綾瀬さんです。最後に彼らに盛大な拍手をお願いします』

あたしの挨拶を最後にミスコン、ミスターコンは無事終了した。そしてその鈴城祭一日目は終わった。。
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