第2章 鈴城中学校女子バスケットボール部
今日はいつものように練習終わりにみんなで寄り道をしていた。けれど今日は少し違う。それは行き着いた場所がいつものコンビニではなくマジバだったこと。そしていつもはいないはずの赤司君と、今日入部したばかりの黄瀬君がいること。
なぜだか青峰君についてきた黄瀬君が、なぜだか自分で俺の歓迎会するッス!とか言って、それに賛同した赤司君も参加することになって、青峰君がマジバでよくね?って言った結果がコレ。
「だーかーらー!なんで歓迎会がマジバなんスか!普通カラオケとかじゃないッスか!?」
「中学生が夜遅くにそんな所にいたら怪しまれるだろう。食べたら帰るからな」
「赤司っち!ひどいッス!」
「うるさいのだよ。そして紫原。もう少し上品に食べられないのか」
「えぇ~?ミドちんお母さんみたい~」
「おい、テツ。何飲んでんだ?」
「バニラシェイクです。好きなんです、ここのバニラシェイク」
ふと話題を青峰君に振られ、答えると黄瀬君にびっくりされた。多分いるとは思っていなかったのだろう。もう慣れたものだ。
するとマジバの扉が開いたと思えば、女の子たちが入ってきた。あの制服は…鈴城だったはずですが…
そしてすぐに目をそらした。彼女たちがこっちを見てきたから。きっとこんなに身長が高い集団は見たことがないのだろう。
暫くすると視線を感じなくなったので、また彼女たちに視線を移す。いや、彼女たち、ではない。正確には彼女に。
「おいテツ。何見てんだよ」
「ん?どうしたんスか?青峰っち…って女の子じゃないッスか!青峰っちも隅に置けないッスねぇ!あ、一番後ろの子、可愛いッス!ちょっと名前聞いてき…」
「黄瀬。勝手な行動はやめるのだよ。お前のせいで俺達まで巻き込まれたら迷惑なのだよ」
「一体俺は何者ッスか!緑間っち!」
「…テツヤ?」
赤司君の声で我に返った。一体どれだけ追っていたのだろうか。
「すみません。何でもありません」
「珍しいな。テツヤが呆けているなんて」
赤司君はそこで初めて彼女たちを見た。彼女たちが席に座るため、見えなくなるほんの一瞬だけを見たはずなのに…
「…へぇ」
彼女たちを視線に捉えた赤司君は薄く笑ったのだった。