第7章 文化祭という名の…
アンコールの声が鳴りやまなかったが、練習の時間もなく1曲しか準備できなかったことを伝えると来年も頼むなんて無茶なことを言われた。
控室に戻ると藍が飛びついてきた。
藍「朱音ー!成功してほんっとに良かった!うわーん!」
翔太「俺終わった後、鳥肌立っちまったよ!」
彰浩「俺も!まじ生徒会入ってて良かった!」
皆きちんと楽しめたようだ。かなりの達成感と満足感を胸に秘めていたあたしは、征ちゃんがあたしを呼ぶ声に振り向く。
「改めて成功して良かった。僕もここまで楽しんだのは久しぶりだ。だが帝城祭は始まったばかりだ。残りも頑張ろうな」
征ちゃんの言葉に皆が頷く。それからあたしたちは集合時間まで自分のクラスに戻ったのだった。
『ごめん、遅くなった!』
愛海「お帰り、朱音!バンド、すっごくかっこよかったよ!さすが朱音なんだから!」
中学1年からのクラスメイトで親友の愛海(あみ)が抱き着いてきたのを皮切りに、クラス中から褒め言葉をいただいた。照れくさいながらもありがとうとお礼をいい当たりを見回す。まだ客が入っていないことを見ると、どうやら間に合ったみたいだ。あたしのクラスの1組は射的屋をする。景品はもちろん豪華な物ではなく、みんなが家から集めた商品だった。
愛海「次何時に抜けるんだっけ?」
『次は生徒会の役割があるから…あと2時間後かな。ごめんね、準備の時から何も手伝えてないのに、当日までバタバタして』
愛海「なーに言ってんのよ。朱音が生徒会と部活で頑張ってるのは皆知ってるから。それに朱音が生徒会長になってくれたからさっきだってあんなに楽しめたし、今だってわくわくしてるんだよ?朱音は笑顔でいてくればいいの!」
『愛海…ありがとう』
クラスの子たちからも気にすんなとの声が上がる。このクラスは凄く居心地のいいクラスだ。