第7章 文化祭という名の…
『けれど、今は生徒会長にという仕事に誇りをもっています。今年が最後である3年の先輩に思い出を残すことが出来るから。もちろん、1・2年の皆さんにも。ということで、細かいことは無しにしましょう!せっかくの合同文化祭です。帝光の皆さんも、鈴城の皆さんも、互いに助け合ってお友達になりましょう。友達は一生の宝です。今、ここで宝を増やしましょう
!以上で挨拶とさせていただきます』
あたしが話終わると、体育館からは溢れんばかりの拍手が降ってきた。
『カーテン、オープン!』
マイク越しに大声をだした言葉は、騒がしい空間を静かにした。そして垂れ幕が徐々に上がっていくのと同時に話始める。
『これはあたしたち生徒会からの贈り物です。皆時間が無い中で必死に練習をしました。下手でも笑ってやってくださいね!』
垂れ幕が上がり、生徒会の面々が姿を現すと、より歓声が上がる。あたしは定位置に着くと皆を見回す。藍、翔君、明君、(翔君と同様に明君呼び)。谷山君、小畑さん、高橋さん。彼らはあたしを見ると笑顔で頷いてくれる。あたしは笑顔で頷き返すと、最後に隣にいる征ちゃんを見た。
「朱音らしい挨拶だった。しかしあんなに大声をだして喉は大丈夫か?」
『ありがとう、征ちゃん。喉なら大丈夫。それじゃあ、行こうか』
あたしたちはそれぞれの楽器に手をかける。帝光の征ちゃん以外は音響や照明場所まで移動する。藍はピアノ、翔君はドラム、明君はベース、そしてあたしと征ちゃんはギターを手にかけマイクの前に立つ。あたしたちがやろうとしていることは、バンドだ。部活でも忙しい中、皆時間を確保して練習していた。あたしと征ちゃんは特に時間が無かったから、二人でギターとヴォーカルを分担して負担を軽くした。
『それじゃあ聞いてください』
「ロードオブメジャーで大切なもの」
征ちゃんの声に会場のボルテージは更に上がった。明君のスティック音を合図に、あたしたちは大きく息を吸い込んだ。
演奏が始まるとボルテージは最高潮となっていた。部活とは違う汗が気持ちいい。隣の征ちゃんを見ると、彼もまた楽しんでいるようだった。曲を演奏し終わり、会場を見回すと、そこには笑顔、笑顔、笑顔。成功したんだと征ちゃんを見ると、彼もあたしをみてにっこりと嬉しそうに微笑んだ。