第6章 合宿
そして合宿最終日も問題なく終わった。昨日の夜はさつきが約束通りあたしたちの部屋にやって来た。茉実、藍、凜子、優希、捺美、雅は既にスタンバイを完了していた。もちろん帝光と練習試合をすることは言ってない。今伝えてしまえば、せっかくの集中力が切れてしまうから。もちろんさつきたちにも釘を刺しておいた。
さつきも茉実たちとすっかり打ち解けたようで、あたしがいなくても心配する必要はなくなった。学園祭のエキシヴィジョンマッチと称する練習試合について、赤司君といろいろ予定を組まなければならない。電話じゃ伝わらないこともあるから、一度会って話さなければならない。それなら今が丁度いいか。
『ごめん、皆。あたしちょっと考え事あるから席外すね』
茉実「えー!?朱音どっか行っちゃうの!?」
『うん、ごめん。また今度聞くからさ』
あたしが席を外すぎりぎりで、今はこっちの方が都合がいいか、という藍の声が聞こえたような気がした。気のせいであってほしいけど。
とりあえず考えをまとめるために1人で資料を作成していく。パソコンはここに無いから、手書きで。30分ぐらい経っただろうか、ひと段落ついて赤司君に連絡を入れようと思うと、ふと目の前に誰かの気配を感じた。
『!あ、かし君!!?』
「やぁ、相変わらず凄い集中力だね」
『いつからそこに?』
「ざっと20分前かな。話しかけるのも悪いと思って黙ってたんだ」
君の百面相を見ているのはとても面白かったよ、と笑って言う赤司君を心底殴りたいとも思った瞬間だった。無理だけど。絶対に無理だけど。