第6章 合宿
『確かにあたしたちにとっては収穫はかなりある。けど今のままじゃ収穫する前に心がやられちゃうから。精神的なものは、数か月じゃ治らないことも十分にあり得るし、あたしにはどうすることも出来ないからね』
「…今のままじゃ、ってところが気になるな」
『この合宿、最後まで全力で乗り切ればあたしたちはもっと上にいける。そのレベルなら、赤司君たちを相手にしても少しは戦えるかもしれない』
だから、と言葉を繋げる。
『日を改めて、ということでどうかな』
「…いいだろう。ただし日にちは僕が決める。そうだな、文化祭の日、ということにしよう」
去年の全中バスケットボール大会の男女優勝校同士が試合を行うということになれば、きっと観客も入るだろう。そして何よりあたしたちが一番問題にしていた答えが完成する。それは文化祭で4つもある体育館の使用について。3つは決定したのだが、あと一つがどうしても決まらなかった。
『赤司君、やっぱり君は最高だね』
「最高の褒め言葉として受け取っておくよ」
赤司君は満足そうに笑うと隣のコートに戻っていった。そして気を取り直してあたしも練習へと意識を戻した。文化祭が終わればすぐに地区予選が始まる。予選前になるとうかつに練習試合も組めなくなるため、地区予選前の最高の対戦相手だった。
赤司君が戻って数分後、隣のコートから大声が聞こえた。チラリと見ると、赤司君、青峰君、黄瀬君、緑間君、紫原君、さつき、そしてテツ君があたしの方を見ていた。あたしは挑発するようにニヤリと笑うと指示を出すばかりだった練習に参加した。