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It’s a miracle!!!

第6章 合宿


確かに勝つためには努力してきた。百戦百勝の絶対理念の元、負けるわけにはいかなかった。どれに誰もが勝ちには貪欲でいたはずだ。もちろん俺も。だが俺は大事なことを忘れていたのだ。俺は本当は何のためにバスケをしていたのか。答えは簡単だ。帝光のためでも赤司のためでもない。俺自身のため。俺が勝ちたいと思うから勝利には貪欲でいた。同じ理念の元、赤司たちと共に勝利を掴んできたのだ。いつからか俺は、自分のためにという考えを無くしていた。自分が頑張れば帝光も勝つ。これが俺の答えだったはずだ。

「すまなかったのだよ、若槻。俺はどうやら根本的なことを忘れていたようだ。そして、それに気づかせてくれたことを感謝するのだよ」

若槻は若槻のために青峰と対峙したのだ。バスケを愛してほしいという、若槻の理念の元に。我ながらふざけたことを聞いたと思い、若槻に謝罪した。

『あたしは何もしてないよ。答えを見つけたのは緑間君自身なんだから。あ、あたしコンタクトレンズ使ってるんだ。もし無かったらさ、あたしのケース使う?』

「ああ、ちょうど無くてどうしようか迷っていたところなのだよ。助かる」

ご飯の時間を確認すると同じ時間だったため、その時に持ってきてもらえるように頼んだ。

「それにしてもまだ朝食の時間まであるが、一体何をしに早く起きたのだ?俺のように占いを見るためだとは思わないのだよ」

『あたしは朝食のジュースを作るためにね。ご飯だけじゃ必要な栄養は賄えないからさ。もし良かったら緑間君もいかがです?』

特にこれから何をする予定も無かったため、彼女の行為に甘えることにした。ジュースは果物やら野菜やらをふんだんに使用したミックスジュースだった。確かに栄養価も高い上に、何より飲みやすかった。

「うまいな。栄養もばっちりだ」

『それは良かった。緑間君、考えて行動するのも悪くはないけどさ、たまには息も抜かなきゃだめだよ?風船だって、空気を入れすぎると割れちゃうんだから』

彼女の一言一言が、胸にすっと入ってきた。そして同時に若槻朱音という存在も、心に入ってきたのだった。
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