第6章 合宿
「フン。俺は何も赤司の為にバスケをしているわけではないのだよ」
『うん。だから昨日のあたしも緑間君のそれと同じだよ。あ、ほら。もうすぐ始まるよ』
若槻の言うとおり、画面上の天気ニュースが終わり、次の占いのコーナーに移ることを示していた。黙って画面を見ることに専念した。これを逃すわけにはいかないから。
『緑間君って何座?』
「蟹座なのだよ」
占いが始まり、見飽きたイントロダクションを眺めていると聞かれた。おは朝は最下位から順に発表されている。すると7位の辺りで声が聞こえた。
『あーあ、あたし7位だ。ラッキーアイテムは…急須?急須なんて持ってないや』
どうやら若槻は乙女座のようだ。それにしてもラッキーアイテムを持ち歩かんとは人事を尽くしていない。俺は再び画面に集中した。
アナウンサー「今日最もラッキーな人は蟹座のあなた!スッキリとした気持ちで一日が過ごせるでしょう!そして最も相性が良いのは乙女座の異性の方!その方があなたを導いてくれるでしょう!ラッキーアイテムはコンタクトレンズのケース!それさえあれば今日は怖いモノはありません!」
『あ、じゃあ緑間君と今日相性が良いのはあたしだね!導けるかは無理かもしれないけど』
にっこりと笑う若槻を見ると、自分が今まで悩んでいたことが急にばかばかしく思えてしまった。今俺が何のためにシュートを打っているのかが分からなくなっていた。帝光の勝利のため、そう思っていた。だが、確かに違和感があった。それが分かったのだ。若槻と話すことによって。