第6章 合宿
合宿二日目。俺は今、毎朝かかさずに見ているおは朝の占いを見るため、起床時間よりも早く起きて、ホールにあるテレビをつけ、待機をしていた。俺の一日はおは朝をみることから始まる。特に蟹座が最悪な日は、命運を握るラッキーアイテムを確保しなければならない。特に合宿中は入手経路が極端に減る。
『あれ?緑間君?』
「?…若槻か。早いな」
それは緑間君もじゃない、と笑う若槻はこちらにやって来た。何をしているのか尋ねられたため、占いを見るために待っていることを伝える。
『占い、好きなの?』
「好き嫌いという訳ではないのだよ。人事を尽くして天命を待つ、という言葉があるが、おは朝の占いも尽くせる人事なのだよ」
『じゃああたしも見ようかな!』
隣のソファーに腰掛け、占いが始まるあと3分少々を二人で待つ。
「…お前は一体何者なのだ?確かに技量もあるし頭もいい。その上、着眼点もいい。けれど昨日の青峰との試合はいったいどういうつもりだ?何がしたい」
『…緑間君だって分かってるでしょ?頭良いんだから。まあ、何がしたいかって聞かれたら、多分おせっかいがしたかったんだと思う。大好きなモノを嫌いになるって凄く辛いことだからさ』
確かに今の青峰では自分が欲している好敵手に出会える可能性は極めて低い。このままでは、いつか青峰は崩れてしまうだろうとは思っていた。占いまであと2分。
「やはり理解できんな。他人のためになぜそこまでする必要がある?赤司は決して不利益が出るようなことはしない。だから奴は青峰を野放しにした。強くなることに変わりはないのだからな」
『…赤司君はそうだとしても、緑間君は利益不利益でバスケをしているの?確かに赤司君は頭が凄く切れるけど、その考えは緑間君も同じなのかな』
同じなわけがない。赤司の言うことに理解は出来るが、俺は赤司の言う通りのバスケがしたくてシュートを打っているわけではないのだから。それに赤司も俺の考えを理解しようとはしない。例えば毎朝のおは朝の占いのように。そしてその占いまであと1分。