第2章 鈴城中学校女子バスケットボール部
そして試合終了を告げる機会音が鳴り響く。何個も組んでいたゲームが終わる頃には、部活見学の時間はとうに超えていて、ギャラリーには誰一人としていなかった。
あたしは今日のゲームで分かった課題を部員たちに伝えていく。隣では藍が必死にそれを書き留めている。全員に伝えたと思った頃に、部活終了を告げるチャイムが鳴る。
『じゃあ今日はここまで。解散』
部員「「「「「「お疲れ様でした!!!!」」」」」」
練習が終わるとそそくさと部室に行く者。藍にもう一度ノートを見せてもらう者。そんな中、あたしはドリンクを飲みボールを持ってコートの中に入っていた。
そう、これは部活終わりからの自主練習。レギュラーともなればその時間は自然と長くなる。それは例にもれずあたしも。普段監督として練習を見ている為か、自主練中のあたしに相談してくる者は少ない。自主練中はあたしの練習時間を確保してくれている。それはとてもありがたいことだった。
頭の中に今日のミニゲームでの皆を思い返す。あの時には茉実がフリーだった。けどすぐ追いつきそうな場所に汐音先輩がいた。そしてゴール下には捺美。雅はあそこで凜子にパスを出したが、あたしだったら…
その場でドライブで切り込む。1人かわす。もっと汐音先輩を引き付けて…よし、動いた。ここで茉実にパスを出す。…しまった。今日は鮮明にイメージしすぎたせいで、本当にパスを出してしまった。今は誰もいないのに。
てんてんと転がっていくはずのボールが空中で止まった。茉実だ。実際にあたしの練習に合わせてパス位置にまで来てくれていた。そしていつの間にかコートの中には凜子、優希、捺美、雅がいた。
『…クスっ』
あたし達は少し笑うとそのままミニゲームを始めたのだった。