第2章 鈴城中学校女子バスケットボール部
あたしは自分でも驚くことに監督までやらせてもらっている。なんでも進学校だった鈴城中にバスケ経験者の教師はいなかったらしい。今では顧問の北村先生が付き添ってくれているだけだ。
新入生「えー?朱音先輩でないの?」
今まで静かになっていたギャラリーから不満の声が溢れ出した。というかあたしが出たらダメでしょ。仮にも監督なんだから部員の弱点克服メニューも考えなきゃだし。けどそんなことが通じるわけでもなく、ギャラリーからは不満がどんどん漏れ出していた。
溜息をつくと見計らったように藍の笛が鳴る。
藍「うるさい!そんなに朱音のことが見たかったらビデオがあるからそちらをどうぞ。今の朱音は監督なんだから」
…うん、藍。すごくかっこいいよ。男前だよ。新入生はポカンとし、茉実はこれでもかってくらい笑っている。
『…あー、まあそういうことだからさ、君たちも本当にバスケやりたいならちゃんと見て勉強してね?』
新入生「「「「「//////は、はいっ!」」」」」
なぜ赤くなる。
藍「あー!もう!朱音!むやみに笑って新入生を甘やかしちゃダメ!」
…なぜ怒られる…
藍にばれない様に溜息を吐くと、試合の始まりを意味するボールを、高く、高く投げた。