第2章 鈴城中学校女子バスケットボール部
汐音先輩はタオルを置くと練習に戻っていった。そう。鈴城中学校女子バスケットボール部の主将は2年のあたし。本当は皆からも慕われている汐音先輩がなるはずだった。だけど先輩は言った。試合に出れないんじゃ4番のユニフォームが泣いちゃうからって。今はその4番をあたしが背負っている。
優希「朱音、言われてたメニュー終わったよ。次は?」
あたしに話しかけてきた優しそうな女の子、天桐優希は文字通り人の何倍も頑張る努力家。優希にメニューを伝えた後、自分も頑張らねばと奮い立たせ、メニューをこなした。
一体どれぐらい時間が経ったのか。藍の軽やかな笛の音が体育館に響く。自分の練習に没頭してしまったことを反省し、藍の隣へ移動し集合をかける。
藍のおかげで少し静かになった新入生も、この静まり返った体育館の雰囲気を感じたのか、一言も発さなかった。
『今からゲーム練習に入る』
茉実「やったー!やっと試合だっ!」
『茉実、静かに。メンバーを発表する。まずはAチームから。汐音、由香、捺美、凜子。次にBチーム、茉実、雅、優希、渚、香代。以上。名前を呼ばれなかった者はいつでも出れるように準備しておくこと。解散』
あたしは部員に言い切った後、藍からタオルを受け取る。
藍「朱音の主将姿もだいぶ板についてきたね!かっこいい!」
『…そりゃあ半年もやってればね。でも先輩の名前を呼び捨てするのだけはどうしても慣れないよ~』
以前敬語+先輩と呼んでいたら汐音先輩から主将だけならまだしも、監督もやってるのにそんな弱腰でどうすんの。と言われた。…というより怒られた。