第6章 合宿
1on1が始まろうとしている体育館は、部活が終わったのにも関わらず、全員がいた。
『…てっきり反対してくると思ったんだけど?』
凜子「本当ならそうするんだけどねー」
茉実「せっかく調子に乗ってる帝光を黙らせるチャンスじゃん?そこはもちろん応援するしかないっしょ!」
『茉実はもう少し柔らかく物を言いなさい。ま、あたしもキセキの世代がどれだけのモンか確かめたかったから、どういう理由であっても応援されたことには素直に喜ぶよ』
「あ?どういう意味だ?それじゃあまるで俺が負けるみてーな言い方じゃねーか」
『…あれ?そう言ったんだけど?』
俺と若槻の間には、吹くはずのない風が通り抜ける。青峰君ってキセキの世代のエースなんだって?と挑発にも似た質問が来る。肯定をすると、若槻はニヤリと笑う。
『ルールは?青峰君が決めていいよ』
「…10本中何本とれるか。どうだ?」
『クスッ…シンプルで青峰君らしいね。いいよ。…さぁ、やろうか』
若槻を取り巻く空気が一気に変わったのを感じた。それはきっと、コートの外まで。